ひとつしか、彼しか私には必要ではないのに私は彼を救えないし、彼は私を救えない。それがお互いに多分わかっていて、一緒に居たって悲しい。私は彼にとって必要じゃない。彼が辛い時に寄り添ってくれる、寄り添わせてもらえる人が居たらいいのに。もういるのかも知れない。それならそうと教えて欲しい。私はよく生きた方だと思う。なんにもしてこなかったし何一つ残してないけれど毎日限界だなと思いながら過ごしてきてそろそろいいと思う。生きる意味が彼しかなかった。死ぬほどつまらないし誰に言ってもそう思うだろう。ここにいたって何も変わらないし、大学に行ったって彼と会わなくなるだけ。馬鹿だな、彼と出会う前に死んでおけばよかった。ここから飛び降りるのが怖くてこれを書いている。

勉強は13歳でやめてしまったし、お酒もコーヒーも飲めないし作れない、自分を商品にできるほど綺麗じゃないし、身体が硬くて体力もないからセックスは下手だし、掃除もごはんも苦手だし、踊りも歌もできないし、ろくな文章も書けないし、愛してほしい人のことうまく愛せれなくて愛されない。

執着しているものたちから距離を取ろうと思います。首を吊るのに失敗した部屋で過ごすのも、お互いのことを考えることができないまま、ずるずると執着し離れられないのもやめます。今、何も制作ができていないのに生きていることはおかしいと思います。そう思うのは彼が私につくっていない時は生きている意味がないと言ったからです。あの時こうすればよかったなどと考えますができなかった、中途半端な執着を捨てなければいけないと思います。中身のないままどこまでいけるのか分かりません。抜け殻のような状態で私に何ができるでしょうか。作ることに執着も捏造もできませんでした。けれど美術以外の生き方が分かりません。これも彼のことを信じていて好きだったからです。好きになったことも認めてはいけない、偽物と思い込むようにしていましたが、それはいつか認めてあげたいです。そうじゃないとあまりにもみじめだと思います。たくさんのことを教えてもらいました。初めて生きていく希望を与えてもらいました。それらから今は一旦離れる形をとりますが、きっと戻ってきます。まず完全に離れることなど一生ありません。私にとって私の命は人ごとに感じるし大事とは思えませんが生き延びたいです。

腕時計をもらった。イッセイミヤケのピンクのものだ。形が残るものはプレゼントしないと聞いていたので嘘かと思うくらい嬉しかった。私は上手くやれているだろうか。何も考えないようにしている。もう消していたが、仕事でしか会話をしないと書いていた。腕時計をあげるのも仕事なのに喜んだりして申し訳ないなと思った。私との会話は全部仕事であり、時々好きですと言って騙しながら働いている。しかし最近お金を払っていないから仕事とも言いがたい。お金で彼が振り向くのならどうにかして払い続けたい。それでも与えてくれるのは仕事ゆえの言動であり、本質的なものはどこにも存在しない。ずっと前から分かっていたはずなのにまた落ち込んでしまっている。見てもらえない以上、落ち込んでいるのも無駄なのに馬鹿だと思う。セックスをしてもあなたと繋がることはできない。何でもしていただいていると思い込ませている。そうじゃないと私はまた勘違いしてしまうだろう。自分が特別だと、愛していて愛されていると、魂と魂で向き合えていたと。こうやって不幸自慢の文章を書くことで私は私を少しでも助けてあげれているのだろうか。あまり何も考えずに淡々と文字を打っていて、後から時々見返すが人のせいにしているような節がある。表面的なところを見るばかりで何も見えていなかった自分が悪いのに愛してくれない彼のどこに罪があるのだろうか。ひどく孤独を感じる。孤独だけが私のもので大切にしてあげないといけない。写真を撮ってもらったが、それはひどいものだった。見た目に執着していた頃を思い出さなければいけない。ただ執着することはかなり気力がいるので大変だ。だがこんな醜い見た目で外を歩いている、自分が可愛いと思う服を着ているのだと思うと気持ちが悪い。私は一つにしか執着できないので生き方が分からない。今は彼に執着しているのだと思う。本当はつくることに執着しなければいけないのにそれができていない。薄々感じている間違いに気づかないふりをして過ごしている。つくり続けることにもつくることから離れることにも覚悟がない。早くいなくなりたいと思う、一方でいつか変わるかもしれないとただ待っている受け身の自分もいる。常に老けていっていることを自覚すべきだ。命は惜しくないのに結局今の自分を大切に思う。

誕生日がきた。玄関で体育座りをしながら雨の音を聞いている。涙が止まらなくて息が上手くできなくなった。私の命はただ軽くて意味を持たなかった。眠っている彼を叩き起こして頼むから私のことを好きになってくれと言ったらどうするだろう。多分何も言わずに抱きしめてまた眠る。私は頭が悪いから、ただ馬鹿にされているだけの相手と少しでも居られるのならば全てを捨ててもいいと思う。この気持ちが愛でないのならばもう何も分からない。人として見てもらえないのに私は魂を捧げてしまっていて、ここにいるのはただ抜け殻でこんなものが歳を取っても何の意味もない。一生愛されることはないと何となく気付いた時から私のこれからは余生に思える。誰か助けてくださいって常に思っているけれど本当は彼以外は何もいらなかった。いくらお金を積んだって手に入らない、私にはどうしようもないことがあるというのを生まれて初めて理解できたかもしれない。最近毎日のようにゆらゆら帝国のボーンズという曲を聴いている。きっともう一人の私はこの曲の中に居る。少し前に私は死んだ。その死んだはずの自分がここに居る。よっぽど死んだ私の方が私だと思う。自分自身で命を絶つ行為は最後の意思表示だ。この方法でしか意思表示できないことは悲しいがこれしかない人もいる。意思表示であり、唯一の結果である。私には何が、どういう死に方が正しいのか分からない。正しさなど求めているのも馬鹿げている、ただの言い訳だろう。今の私には死がほぼ意味を持たない。死が意味を持つために生きていかなければいけない。意味というのは自分にとってのだ。意識が戻って部屋が見えたときにその覚悟はできたはずだったのに、愛して欲しい人に愛されないということで生きる気力がなくなってしまった。今まで生きていて18歳が一番苦しかった。一緒にいる時に感じる遠さから目を逸らしながら過ごしてきた。けれどどこかで信じていた。彼を、自分を、この先を見ていると思っていた。思うのは生まれてから今までしたことはすべて作業だった気がしてやまない。目を覚ますたび別の人間だと思う。毎日違う私が作業をして眠って死ぬ。死体を引きずってここまできた。肉体だけでどこまで行けるだろうか。私はその最後が知りたい、この目で確かめたい。

自分の身体も思考も感情も作るものもすべて自分のものではない。自分のものではない、というのは私がオリジンではないという意味でもあり、私がそれを所有していないという意味でもある。私を含め世界に支配されている。能動的に生きなさい、と言われたが今の自分は受動的もいいところだ。前が能動的だったかは分からないが今よりはましだろう。まず、自分の感情を否定するようになる。思ったことを言えなくなる。そして自罰的になる。すべての原因が自分にあると考え始めるともちろんしんどくなるので、何も考えてはいけない、今思ったことは間違いだと言い聞かせ始める。この段階が一番苦しい。自分の感情をエラーだと思い込まなければいけないのは人ではないと自分自身で理解させないといけないからだ。私はこの段階で自殺を図った。そして思い込ませることに成功したら身の周りや自分のことが人ごとに感じる。自分でない感覚が強くなる。今はここだ。もしかすると生きていた19年の中で一番辛いのかもしれない。けれどはっきりと辛いとは思えない。とりあえず困っているのが、抜け殻になっている今の私にはインプットすることができない。高校生の寝たきりだった時も同じだった。何も入ってこず、回路としての道筋にすらなっていなかった。もう入れることは諦めた。だから今は私にできるアウトプットの方法を探している。自罰的だったころはもうとっくに過ぎたので何もつくれていない自分が人ごとに感じて仕方ない。あまりできてはいないが、ものは残っている。しかし中身の無いまま、ただ手を動かしたりシャッターを切ったものがつくったものとは言いがたい。しかし抜け殻のままこうやって文章を書いたり絵を描いたり木を彫ったり人と話したりをしなければずっと空のままだろう。今日は木を彫ったのと石を並べた。これからまた石を並べに行く。泣きたくなるくらい美しいものに出会いたい。けれどインプットができない今、それは自分自身から産むしかない。

ずっと夢の中だと思う。現実味がない。最近寝ている時間が増えた。今まであった辛いことの夢を見る。一つ一つ辛いことを考えるのは今の私にはできない。そして辛い原因が私だけにあると思わなければならない。深いところで何一つ繋がれていなくて、私のことを人として見ていない。彼の前ではずっと怯えている。少しミスをすると冷たい目をする。それがどうしても怖くて涙が出てきても何も言わない。私は恋人のふりをすることでしか関わることができなかった。他の生徒は違う。一対一で生徒として、人間として見てもらっている。本当は私はこうなりたかった、と言ったら怒られるだろう。私から好きになったし手を出してしまった。私のために時間を割いてくれないことが悲しい。あなたのために時間を捧げますよと他の女の子に言っていた。私は見放されたから仕方ないけれどずっとずっと寂しい。頼みごとをしてみたら時間があったらねと言われた。その子ならすぐに手伝ってくれただろう。その子はすぐにくっついてべたべた触る。私と彼の関係を何度も探ってきた。関係など私には分からない。推薦の結果がどっちにしろ出たら岡山を出ようと思う。それで彼とは離れる。それでも今は彼に会うことが生きがいになっているからどうなるか分からない。けれど離れなければいけない、自分がこれ以上いなくなってしまったらもう元には戻れない。