命の‪価値は平等ではない、愛がないのではなく私にはなかったということ。多分このことはずっと悲しくて、向き合わなければいけない。彼の友人が自殺未遂をしたと聞いた。一度しか会ったことがないけれど目の前の人やものに誠実な人だと思った。こんなこと言うべきではないけど私の命は彼よりすごくすごく下だと分かった。嫌でもそう思わないといけなくなった。彼は友人と電話をしていたと言っていた。私は自殺未遂をしてから数日経って少し話すと大して何も言われなかった。それで良かったがやっぱり愛されていないということが顕著に表れていて悲しかった。何も知らないのに比べるのもおこがましい。ただ現在の自分は何に対しても誠実ではない。怖い、どうでもいいという状態じゃなくてちゃんと嫌われることが怖い。どうしてこんなに怖くて苦しんで、苦しんでいることを必死に忘れようとしているんだろう。前の私を知っている人に何も感じなくなってしまったんだねと言われた。今はそうするしかないのに、そうやって我慢していたのに、そんなの分かった上で自分で選んできたことなのに。上手に生きるには悲しいことは忘れるようにして納得しなきゃいけなくなったんだよと言ったら、上手く生きているようには思えないよ、自分を見ることからもう逃げてしまっていると言われた。思っていることを言ったり泣きたい時に泣いたら嫌われて居なくなってしまった。思ってることを言ってはいけない、何も思ってはいけないと言い聞かせていた。それでも心はあって、悲しんでしまうことがどうしても許せなかった。カーテンレールで首を吊った時、ちゃんと死ななければいけないと思った。何も思ってはいけないのに色々考えて悲しくなる自分が憎かった。意識が戻って視界がちかちかして、ぼやけた部屋が見えた時生きていて良かったとは思えなかった。ただ、また自殺をしようとする気力がなくなった。諦めてどうにかなるべく苦しくなく生き延びようと思った。

その日の夜、彼が女の人と会っているのを見た。そういうことをしているんだろうなとは分かっていたし私は何も言える立場ではないのにやっぱり辛かった。でももう死ぬのも面倒でどうでもよくなってきた。無駄だとやっと分かった。彼が私に対して愛がないように私も愛がなくなってしまっていたのかもしれない。何も思いやることができず自分のことで精一杯だった。今は彼のことも自分のことも考えれていない。

この前、男の人に声をかけられて初めて部屋についていった。他の人としたら好きじゃなくなるかもしれないと思った。録画していた怖い番組を見せながら部屋の電気を暗くした。髪の毛を触られている時にこんなことしても何も埋まらないし心をすり減らすだけだと思った。テレビでは浮気をしていた男の人に怨みを持ったまま死んだ幽霊の話をしていた。私も付き合っていた人が知らないところで女の人と会っていて、それが許せなくて彼を刺したんですと話したら、急いで電気をつけて今すぐ帰ってくれとタクシー代を渡されて追い出された。彼には悪いことをしてしまったし警察に通報されたかもしれないけど嫌なことをしなくてよかった、心を減らさなくてよかった。そして本当に頭が悪いと思った。私は彼のことがどうしても嫌いになれない。遠くないうちに離れることになるだろう。それでも忘れることはない、私の血肉となりバラバラに切り刻んでもいる、存在している。相手のことも自分のことも考えられなかった。話せば話すほど遠くに行ってしまった。ずっと適当な気持ちであしらわれていただけなのかもしれない。それでも同じ空間にいたことだけは本当で、うまく愛せなかったけれどいつか愛することができたらいい。もしこれから誰かと付き合っても誰かとセックスしても誰かと結婚しても彼の代わりはどこにもいない。