試験が終わった。春には彼から離れることになるだろう。今の彼は前の彼と別人になっている。そして次に会う彼はもっと別人になっているだろう。多分、私は今の彼を通して過去の彼を見ていた。むなしさは増すばかりで、彼に対しても失礼なことだった。何度も何度も過去の彼は顔を出す。私は私の中の過去の彼を正しい形で弔わなければならない。それと同時に過去の私も弔わなければいけない。けれど私達が“いた”ということは事実だということ。午前3時に彼の部屋で抱き合って一緒に生きていこうと言われ、泣いて喜んだことも事実だということ。全部否定して悪口を言って嫌いになったふりをするのは楽だ。

 

私の執着は愛でもないかもしれない。でも目に見えるほどの執着の方がよほど確かなものじゃないかと思う。

私は彼への執着を形にする。それが弔いになればいいと願う。